遺産分割の方法

遺産分割の方法

遺産分割では、誰が、どの財産を、どのような分割方法で相続するかを決めます。
その遺産分割の方法としては、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類があります。

それぞれの方法について、以下ご説明します。


現物分割

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法です。

たとえば、自宅不動産をAさんが取得し、他の不動産をBさんが取得し、預貯金をCさんが取得するといった方法です。
また、土地を複数に分筆して分けるのも現物分割です。

遺産分割は、できる限り現物を相続人に受け継がせるのが望ましく、現物分割が遺産分割の原則的方法と考えられています。

代償分割

代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させ、その代償として他の相続人に対する債務を負担させる方法です。

たとえば、自宅不動産をAさんが取得し、その代わりAさんは、代償金として、BさんとCさんに〇〇〇〇円ずつ支払うこととする、といった方法です。

法律上は、「特別の事情」があると認められるときに、共同相続人の一人または数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物分割に代えることができるとされています(家事事件手続法195条)。

換価分割

換価分割とは、遺産を売却等で換金したあとに、価格を分配する方法です。

協議による遺産分割では、換価分割は、現物分割が困難で、代償分割もできない場合に、当事者の合意に基づき、換価代金を分割対象財産とすることを前提として遺産を第三者に売却し、その代金を分配します。

裁判所の遺産分割審判による換価分割では、遺産の競売を命じ、その売却代金から競売手続費用を控除した残額を分配するという方法になります。

共有分割

共有分割とは、遺産の一部または全部を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法です。

その後に共有関係を解消する手続は、共有物分割(民法256条以下)によることになります。

共有分割は、現物分割、代償分割、換価分割が困難な状況にある場合、当事者が共有による分割を希望しておりそれが不当とは認められない場合などに限定されるべきであり、不動産・動産の共有、債権の準共有の状態の解消が比較的容易なときは、遺産分割いおいてその解消を行うべきとされています。


遺産分割方法の選択

上記の各遺産分割方法のうちどれを選択するかについて、原則としては、まず現物分割を検討し、それが相当でない場合に代償分割を検討し、代償分割もできない場合には換価分割を検討し、共有のままにする分割は最後の手段とされています。

調停での実際の遺産分割では

遺産分割の調停では、多くの場合、当事者全員が合意すればいかなる分割方法でも採用できます(現物分割が可能な場合に当事者全員の合意で共有分割にすることも可能です)。
また、実際には、様々な理由で、自分への分配を多くしてほしいと求めたり、分配する割合を調整したり、ある相続人の取得分をゼロにしたりすることもあります。


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